写真の背景をきれいに削除するコツ — AIセグメンテーションとマッティング、撮影・仕上げのポイント
AI背景削除の仕組み(セグメンテーションとマッティング)と結果が良くなる撮影方法、髪の毛の境界の整え方、透過PNG・白背景JPGの保存、合成のコツと商品写真の確認点をまとめました。
背景削除ツールに写真を入れると、数秒で人や物だけが残ります。ところが、きれいに切り抜ける写真もあれば、髪の毛がつぶれたり背景の一部が残ったりする写真もあります。この違いは、AIが写真をどう理解しているかを知れば、ほとんど説明がつきます。この記事では仕組みとあわせて、結果を良くする撮影・補正のコツをまとめます。
セグメンテーションとマッティング — 2つのアプローチ
| 区分 | セグメンテーション(分割) | マッティング |
|---|---|---|
| 出力 | ピクセルごとに「前景 / 背景」を判定(0または1に近いマスク) | ピクセルごとに前景が占める割合(0〜1のアルファ値) |
| 得意なもの | 輪郭がはっきりした物体、さまざまな種類の物 | 髪の毛、毛並み、半透明な境界 |
| 苦手なもの | 髪の毛や毛並みが階段状に切れる | 学習した対象(主に人物)以外の物 |
| 代表的な研究 | U²-Net(顕著物体検出) | MODNet(人物マッティング) |
セグメンテーションは「このピクセルが主役に属するか」を判定します。U²-Netのような顕著物体検出(salient object detection)モデルは、写真の中で最も目立つ対象を見つけるよう学習されており、商品・動物・物に幅広く使われます。
マッティングはさらに一歩進んで、「このピクセルで主役が何パーセントを占めるか」を推定します。髪の毛が1本通るピクセルには髪の毛と背景が混ざっているため、これを0.3のような中間値で表さないと自然に見えません。もともとマッティングでは、人が「確実な前景 / 確実な背景 / 境界」の地図(トライマップ)を描く必要がありましたが、MODNetのようにトライマップなしで人物写真だけからマッティングを行うモデルが登場し、自動化が可能になりました。
まとめると、人物写真にはマッティングモデル、商品や物にはセグメンテーションモデルがおおむね有利です。背景削除ツールはこの2方式のモデルをブラウザ内で実行し、写真が端末の外に出ることはありません。
ブラウザでAIを動かすということ
サーバー型の背景削除サービスは、写真をアップロードしてもらいサーバーのGPUで処理します。ブラウザ型のツールは反対に、モデルファイルをダウンロードして自分の端末で実行します。この方式には次のような特徴があります。
- 個人情報:写真が端末の外に出ないため、身分証や家族写真のような機密性の高い画像にも使えます。
- 初回の待ち時間:最初に一度だけモデルファイルをダウンロードする必要があります。その後はブラウザのキャッシュに残ります。
- 端末の性能による影響:処理速度は端末のCPU・GPUとメモリによって大きく異なります。古いスマートフォンでは数十秒かかることもあります。
- 入力サイズ:こうしたモデルは通常、写真を数百ピクセルの決まった入力サイズに縮小して推論し、得られたマスクを元のサイズに拡大して適用します。そのため、非常に大きな写真では細い髪の毛が元画像ほど細かく分離されないことがあります。U²-Netの論文でも、学習・評価時に入力画像を320×320に縮小して使用していました。
結果が良くなる撮影方法
AIが見ているのは、結局のところ「主役と背景の違い」です。違いがはっきりしているほど結果は良くなります。
- 背景と主役の色・明るさを変える:白いシャツを白い壁の前で撮ると、境界を見つけにくくなります。服と背景の明るさの差が大きくなるように選んでください。
- 背景はシンプルに:柄の壁紙、本棚、木の枝のような複雑な背景は、一部が主役と誤判定されることがあります。
- 主役と背景の間に距離を:壁から1m以上離れて立つと、影が背景に付かず、背景が自然にぼけて境界がはっきりします。
- 逆光と強い影を避ける:頭の後ろから光が入ると、髪の毛の縁が背景と混ざって光がにじみます。正面や45°方向からの柔らかい光が適しています。
- ピントと解像度:ぶれていたりピントが外れていたりする境界は、AIでも正確に区別できません。主役が画面の中で十分に大きく写るように撮ってください。
- 主役はひとつに:複数の人や物があると、モデルがどれを主役とみなすかが変わることがあります。
境界を整える
自動の結果が完璧でないときは、ブラシで手直しするのが最も早い方法です。
- 残った背景を消す:腕と体の間、指の間のように背景が閉じ込められた穴はよく残ります。消しゴムブラシで整えます。
- 切れてしまった部分を復元する:主役と色が似た背景に体の一部が消えてしまったら、復元ブラシで戻します。
- 縁をなめらかにする:境界が階段状で硬い場合は、1〜2ピクセルほどなめらかにすると新しい背景と自然になじみます。
- 色のにじみを確認する:緑の芝生の前で撮った写真は、髪の毛の先に緑がかった色が残ることがあります。白い背景に載せて拡大するとよくわかります。
苦手な対象も知っておくと役立ちます。ガラスのコップやビニールのように透明または反射する物、背景が映り込むメガネのレンズ、細い自転車のスポークやフェンスは、現在の自動モデルが最も苦手とする対象です。
新しい背景と自然に合成するには
背景を削除した人物や物を別の写真の上に載せると、不自然に見えることがよくあります。原因はたいてい光と色です。
- 光の向きを合わせます。人物は左から光を受けているのに、新しい背景の太陽が右にあると不自然です。
- 縁の色のにじみを整えます。元の背景色が髪の毛の先に残っていると、新しい背景の上で縁取りのように見えます。
- 影を加えます。床に接する物は、足元や底面に薄い影がないと浮いて見えます。
- シャープさとノイズを同程度にそろえます。なめらかな人物を粗い背景写真に載せると、ちぐはぐな印象になります。
保存形式と背景色
| 目的 | 保存形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 他の画像との合成、デザイン素材 | PNG | 可逆、アルファチャンネルに完全対応 |
| Web掲載用の透過画像 | WebP | 透過を保ちながらPNGよりはるかに小さい |
| 白背景の商品写真、書類への添付 | JPG(白背景で塗りつぶし) | 互換性が最も高く、ファイルサイズが小さい |
JPGは透過を保存できないため(MDN)、透過の結果をJPGで保存すると、指定した単色で塗りつぶされます。白背景のJPGが必要な場合は、背景色を純白(#FFFFFF)に指定して保存してください。
商品写真の白背景について
ECモール・ショッピングプラットフォームの中には、メイン画像に白または単色の背景、枠や文字の禁止といった規定を設けているところがあります。ただし規定はプラットフォームやカテゴリーごとに異なり、頻繁に変わるため、この記事では特定のプラットフォームの数値は掲載していません。登録前に出品者向けセンターの最新の画像ガイドを確認してください。共通して確認しておきたい項目は次のとおりです。
- 背景色は純白(RGB 255, 255, 255)でなければならないか、明るいグレーも認められるか
- 商品が画面に占めるべき割合と余白
- 最小ピクセルサイズとファイル容量・形式
背景を削除したあと切り抜きで余白と比率を合わせ、容量制限があれば画像圧縮で仕上げれば完了です。
公式な証明写真には使わない
韓国の旅券写真の規定は、編集ソフトで背景を除去・合成した写真は受け付けないと明記しています。詳しい基準は証明写真・願書写真の規格をご覧ください。
よくある質問
背景を削除した写真をJPGで保存すると透明になりますか?
JPGは透過を保存できないため、透明な部分は白や黒などの単色で塗りつぶされます。透過背景を保ちたい場合は、PNGかWebPで保存してください。
証明写真の背景を白に変えて提出してもいいですか?
韓国外交部は、旅券写真で編集ソフトを使って背景を除去・合成した写真を認めていません。公式な提出用の写真は最初から白い背景で撮影するのが原則で、背景削除の結果はSNSのプロフィールやデザイン作業など、規定のない用途に使うのがよいでしょう。
背景削除が最初に時間がかかるのはなぜですか?
ブラウザ内でAIモデルを動かすには、モデルファイル(数MB〜数十MB)を最初に一度ダウンロードする必要があります。その後はブラウザのキャッシュに残るため速く始まり、写真はサーバーに送信されません。