JPG(JPEG)形式とは — 写真圧縮の標準フォーマット
JPG(JPEG)形式の歴史(1992年 ITU-T T.81)、DCT と量子化による非可逆圧縮の仕組み、透過がない理由、プログレッシブ JPEG、画質設定と変換時の注意点を解説します。
JPEG という名前は、この規格を作った委員会(Joint Photographic Experts Group)に由来し、ファイル拡張子としては .jpg が最も一般的です。1986年に結成された委員会がまとめた規格は、1992年9月に ITU-T 勧告 T.81 として、1994年に ISO/IEC 10918-1 として承認されました。30年以上たった今でも、デジタルカメラ、スマートフォン、Web、役所のアップロード欄で最も広く受け付けられている写真形式です。
圧縮の仕組み
- RGB の色を輝度(Y)と色差(Cb, Cr)に変換し、多くの場合、色差の解像度を半分に落とします(クロマサブサンプリング)。
- 画像を 8×8 ピクセルのブロックに分け、離散コサイン変換(DCT) で周波数成分を求めます。
- 各成分を量子化テーブルの値で割って丸めます。画質設定を下げると割る値が大きくなり、高周波の細部がより多く失われます。劣化はこの段階で生じます。
- 残った値をハフマン符号で可逆圧縮します。
人の目が気づきにくい情報から捨てるため、自然な写真では高い圧縮率でも差がほとんど目立ちません。一方、文字・線・単色の境界では、境界のまわりににじみ(リンギング)や 8×8 のブロック跡が現れます。
ファイル構造と JFIF・EXIF
JPG ファイルは必ず FF D8(画像開始)で始まり、FF D9(画像終了)で終わります。その間に、量子化テーブル、ハフマンテーブル、画像サイズなどの情報が「マーカー」という単位で続きます。ファイルの先頭には通常 JFIF(APP0 マーカー)または EXIF(APP1 マーカー)の情報が付き、デジタルカメラやスマートフォンは撮影情報と位置を記録した EXIF を使います。写真を共有する前に位置情報を消すべき理由はここにあります(EXIF ガイド)。
ベースライン JPEG とプログレッシブ JPEG
T.81 は、上から順に描画する ベースライン(baseline) 方式と、ぼやけた全体像を先に表示して徐々に鮮明にする プログレッシブ(progressive) 方式の両方を定義しています。Web で大きな写真を表示するならプログレッシブ方式のほうが体感速度で有利で、古い機器や提出システムとの互換性が重要ならベースライン方式が安全です。規格には可逆モードもありますが、ほとんど使われていません。
長所と限界
- 互換性:MDN によれば主要ブラウザはすべて当初から対応しており、事実上あらゆる OS・ソフトで開けます。
- 調整の幅:画質の値ひとつで容量を幅広く調整できます。写真なら画質 70〜85 が効率のよい範囲です。
- 透過なし:アルファチャンネルがないため、透明な背景を保存できません。
- 再保存による劣化:開いて保存するたびに量子化がやり直され、画質が少しずつ落ちます。
- 8 ビットの限界:HDR や広い階調を扱いにくく、空のようななだらかなグラデーションで階段状の縞(バンディング)が出ることがあります。
主な用途
写真の共有、願書・証明写真の提出、メール添付、印刷所への入稿など、受け取る側が何を使っているかわからないときに最も安全な選択です。スクリーンショット・ロゴ・図表には PNG のほうが適しています。
他の形式に変換するとき
- JPG → PNG:追加の劣化はありませんが、すでに失われた情報は戻らず、容量はたいてい数倍になります。JPG を PNG に 変換するのは、何度も編集を繰り返すときや透明部分を加えるときにだけ意味があります。
- JPG → WebP・AVIF:劣化の上にさらに劣化が重なりますが、適度な画質なら容量を大きく減らせます(JPG を WebP に)。
- 他の形式 → JPG:透明な部分は白などの単色で塗りつぶされ、10 ビット以上の色情報は 8 ビットに減ります。
- EXIF の向き:スマートフォンの JPG は回転情報を EXIF に記録していることが多く、変換ツールがこれを反映しないと写真が横向きに表示されることがあります。
容量を目標 KB に合わせる方法は、画像容量を小さくする仕組みを参照してください。
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